名前のない鬼

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なぜ、私を助けた。 男にそう問うと、こちらを一瞥もせず吐き捨てる。「思い上がるなよ。お前は青鬼をおびき出すための餌だ」 人間の若造だった。おそらく二十を過ぎたあたりか。腰に太刀を佩いた武士の装いをしており、目は糸か何かのように細いが、その奥の瞳からは燃えるような激情を感じさせる。きっと憎しみだろう。本当ならば、今この場で斬り捨てたいのを耐えているのだ。 男は金に目の眩んだ村人どもの薄汚い手から、何を思ったのか私を連れ出した。おかげで角は残っているし、切断された手足は元に戻りつつある。「リョユウをおびき出してどうするのだ」「殺す」 間髪入れずに答える男に、私は思わず噴 Expand
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#29178000

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